この世界の片隅に【ネタバレ映画レビュー】生きるということを丁寧に描いた傑作!

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この世界の片隅に【ネタバレ映画レビュー】生きるということを丁寧に映画いた傑作

『この世界の片隅に』は人にオススメしたくない

2016年11月12日劇場公開された『この世界の片隅に』

本当に、今までみた全ての映画の中でも最高峰だと感じた映画です。ですが、この映画は人にはオススメしません。誰かと共有したい、と思えない作品なんです。

自分の感じたことが、そのままこの映画への思いでいい。そう思える映画です。

僕は割と他の人が映画をどう観るか、どう感じるかが気になってレビューなどを読むタイプなのですが、『この世界の片隅に』はそういった想いが湧かなかったんです。

ただ、鑑賞から2ヶ月経ち、映画感想ブログも立ち上げたタイミングで「もっとたくさんの人に観て欲しい映画ってどれだろうか?」と思った時すぐに浮かんできたのがこの作品でした。

僕が『この世界の片隅に』を観て、心に感じた想いをつらつらと書き綴りたいと思います。誰かと映画の出会いになれば嬉しいです。

あらすじ【ネタバレなし】

この世界の片隅に、あらすじ

“江波の干潟をいく、幼い遠野兄弟たち”

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

舞台は1944年、第二次世界大戦の少し前からお話は始まります。

主人公の遠野すずは、広島市江波の海苔梳きの家に育った女の子。絵を描くことが大好きで、少し抜けた所のある天然な子です。

すずさんの子供時代から、お見合い、結婚を経て呉へと嫁ぎます。

食卓を囲む北條家の人々とスズさん

“嫁ぎ先、北條家の人々”

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

呉は、戦前から海軍の工廠にて、かの有名な「戦艦大和」が建造された東洋一の軍港、日本一の工廠として有名な港でした。

そういった経緯から、戦時中は熾烈な空襲を受けた街です。

そんな街で、すずさんにとっての新生活が始まっていきます。少しづつ戦争の足音が迫る中、目の前の生活、家事は続いていきます。

そして、戦争も末期に近づいていき、そこからは皆さんも知っている歴史の流れに沿って大きな試練がすずさんの前に立ちふさがっていきます。

そんな、非日常の中での、当たり前の “生活” を当たり前に続けていくすずさん。

そこに、この映画の強いメッセージが込められています。

日常の描き方の素晴らしさ

野草で料理をするスズさん

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

「すずさんの当たり前の生活」の描き方によって、この映画がただの戦争映画に留まらない、人の心を打つ理由になっているように思います。

戦争によって、貧しく厳しい生活を強いられながらも、毎日の食事、洗濯などの家事を

工夫して楽しく過ごしていきます。

戦時中といっても、その時代、その場所に生きていた人々にとっては確かにそれが「日常」だったのでしょう。戦争という日常の中、すずさんは確かにその世界の中で食べて、寝て、愛して、泣いて、喜びながら当たり前に生きていくのです。

そんな日常を、あえてドラマチックに描かず淡々と描いていくことで本当にすずさんの日々が目の前で過ぎていくような感覚になっていきます。

戦争という非日常

呉港と大和

青い空と爆撃機

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

戦争の描き方について、最も印象に残っているのはその「音」です。

その背景美術の美しさと優しい水彩風の画風を突き破るような空襲による爆発音がそれまですずさんと共に過ごしてきた日常を一気に破壊されていくような感覚を受けます。

この映画における「戦争」は、「日常」との対比の中にあります。今まで日常を淡々と描いてきた物語の中で、戦争が激化していく様子はすっかり隔離されて、浮き出ているような印象を受けます。

戦争という非日常は、きっと自分の人生の一部として認識できないのだと思います。どこか自分の人生とは関係のないこと、という錯覚に囚われているのだと・・・。
それが、半ば強制的に、すずさんの人生を通して徐々に日常を侵食され、まるで自分の人生が奪われていくような感覚をすずさんの経験を通して体験していきます。

“強く生きる”ということ

泣き崩れるスズさん

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

僕は、この映画のテーマとし「強く生きるというのはどういうことなのか?」ということを問いかけられているように思いました。

「強く生きる」ということには様々な想いがあると思いますがこの映画から感じた一つの答えは「どんな苦境においても、日々の生活を手放さないこと」だと思ったんです。

誰かの生活というものが、どんな時代にも確かに存在していてそこに誰かが確かに生きていたんです。それは劇的なドラマではなくただ食べて、寝て、息を吸って、子供を産み育てるという日常の中にあったものだと思うんです。

そんな「日常」を奪われてしまいそうになった時、淡々と生活を続けていくことの強さを感じたんです。それは”生きる”ことそのもだと思うんです。

『この世界の片隅に』は戦争の中の日常を描いていますがそれは、戦時中だから、ということだけではない。この世界で、この現代で、未来でこれからも生き続けるということが僕たちにとってどういうことなのか?を問いかけているんだと思います。

『この世界の片隅に』への想い

平穏の中に

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

本当にこの作品には衝撃を受けました。
『この世界の片隅に』は本当に多くの人に観て欲しいと思う作品です。

当たり前ですが、このブログに書ききれていないこと、あえて書いていないことがたくさん詰まっています。すずさんだけではない、魅力的に生きるキャラクターたちが登場します。

そのキャラクターたちのバックグラウンドが、そのままこの現実世界でみんなが抱えている悩みや、迷いの象徴なのだと思います。そういったところが非常に丁寧に描かれています。

この作品で、色々な想いを持つ人がたくさんいると思います。その想いはきっと、誰かへの優しさにつながるのではないかなと思っています。
そんな風に感じる映画でした。

まとめ

呉を見渡す丘の畑から

“© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 公式WEBサイトより引用”

レビューや感想というよりは、思い入れが強過ぎてほぼ自分語りのようになってしまいましたが、この作品を観た人にはこうなる気持ちをご理解いただけると思っています(笑)

僕の気持ちベースだけではなんなので、客観的に見ての良いポイントを最後に記載します。

  • 絵作りが素晴らしく丁寧、田舎の匂いを感じそうなほど。
  • 水彩風の優しい風景画が本当に美しい、アートワークを購入したいくらい!
  • 劇場での「音」はすごかった、確実にこの映画を高レベルにしている要素の一つ。
  • のんさんの声はちょっとしたら慣れる、と僕は思いました(笑)
  • ストーリーについては、歴史を知っているのにとてもドキドキしました。

戦争もの、として避けている人にも是非見ていただきたい作品です。映画好きなら一見の価値があります。

ただ、少なからずショッキングな絵もあります。戦争を描いていますから。そういう部分を踏まえても、できるだけ多くの人に観てもらいたいと思う作品です。

2017年1月2日現在、まだ劇場公開しているようです。是非映画館に足を運んで観てください。

それでは、次の映画感想で。

バイバイバイ〜。

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